便失禁で悩んでいる人の多くは、恥ずかしさや、命に関わるものではないこと、また治療法があることを知らないために病院に行ってみてもらうことが少ないのが現状です。
また、専門に見ている医師も少ないことから「年だからしょうがない」と諦めてしまうことも多いようです。
ライフスタイルを考慮しながら、その程度と原因にあった治療法を行っていきましょう。
便失禁は予防も治療も可能です。
便失禁の検査方法
問診:どのような時に、どんな便が漏れるのか、症状を伺い、便失禁スコアで現状を評価します。
肛門指診:肛門に指を入れて直腸や肛門の病気の有無や筋肉の異常を確認します。
肛門内圧検査:肛門括約筋を締めた時、緩めた時の圧力を測定して筋肉の強さを確認します。
便失禁治療
1. 保存的療法
水様便だと漏れてしまうが、形のある便だと漏れない状態の方がいます。そのような場合、便をある一定の形に保つ内服薬を使用することで、症状の改善を見ることがあります。
また、肛門の中に便が残ってしまい、それが後から出てきて漏れるという方もおられます。便を出しやすくする注入薬や座薬を使用し、便を出し切ることで、症状の改善を見ることがあります。
2. バイオフィードバック療法
肛門括約筋を鍛えるトレーニングを指導しますが、自分では肛門をしめているつもりでも、大臀筋(お尻の筋肉)にしか力が入っていない場合があります。肛門括約筋を上手に締めるのは意外と難しいのです。
そこで肛門に圧力センサーを入れて、モニターを確認しながら肛門を締める練習をして自分で締め具合を覚えるのが「バイオフィードバック療法」です。
3. 低周波電気刺激療法
肛門の筋肉は肛門を取り囲む内肛門活約筋と、さらにその外側にある外肛門括約筋があります。
外肛門括約筋は自分の意志で締めることができますが、内肛門括約筋は自分の意志で締めることができません。
そのため内肛門括約筋の筋力低下に対しては自己訓練法やバイオフィードバック療法はあまり効果がありません。そこで考案されたのが、低周波の筋力強化作用を利用した低周波電気刺激療法です。
低周波電気刺激療法とは
肛門に細い棒状の電極を入れて約5分間刺激します。
少しチクっとするだけで強い痛みはありません。
低周波には、自律神経改善作用、血流改善作用、感覚改善作用もあり、効果が期待できます。